「2025年の崖」問題は終わったのか？レガシーシステム脱却の裏に潜む“本当の問題”

「2025年の崖」は乗り越えていない──レガシーシステム脱却の先に始まる本当の試練

「2025年の崖」というキャッチーなフレーズは、多くの企業に危機感を持たせ、レガシーシステム脱却の動きを後押ししました。そのおかげもあって、システム刷新に取り組んだ企業は多いでしょう。実際、富士通によるメインフレーム事業撤退やSAP ERPのサポート終了などをきっかけに、クラウド移行やリプレイスを進めた組織も少なくありません。その結果、市場規模も拡大し、レガシーマイグレーションの取り組みは確実に広がっています。

一方で、理想どおりにはいかない面も見えてきました。クラウドに移行したものの従量課金による運用コストが膨らんでしまったり、COBOLからJavaへの移行で可読性の低いコードが残ってしまったりと、想定外の課題に直面している企業もあります。

さらに深刻なのは人材不足です。2025年時点で約43万人、2030年には80万人のIT人材が不足すると予測されており、従業員の育成や新規採用だけでは追いつかない状況です。ITベンダーに人材が偏在し、ユーザー企業の内部にノウハウが蓄積されにくいという課題も残っています。

※出典：参考資料（ＩＴ人材育成の状況等について）経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課

投資面でも、多くの企業がIT予算の大半を既存システムの維持に充てており、攻めの経営戦略に資する投資は十分に進んでいません。人事部門や経営層にとっては、社内の従業員をどう育成するかに加え、外部の人材をどう戦略的に取り入れるかが、これからの大きなテーマになっています。

言い換えれば、2025年の崖は「乗り越えた課題」ではなく、「これから向き合うべき課題」なのです。

2025年の崖の裏に潜む“組織の壁”──レガシーシステム脱却を阻む本質的課題

「2025年の崖」問題は、どうしてもレガシーシステムやプログラム言語といった“技術的な課題”に注目が集まりがちです。しかし本質的には、技術を更新する過程で必ず直面する「企業全体の文化」や「組織づくり」こそが大きな問題です。つまり「IT部門だけの課題」として片付けてはいけません。

たとえば、筆者が過去に取材した企業では、かつて4,000以上の業務アプリケーションが部門ごとに乱立し、結果的に組織がサイロ化していたケースもあります。システムが縦割りで動くように、組織の意思決定も部門ごとに閉じてしまい、全社を横断した戦略的な変革が難しくなる。こうした構造は、多くの企業が共通して抱える悩みではないでしょうか。

さらに、「レガシーシステムでも動いているから対応は急がなくていい」という経営層の意識や、「大規模なシステム刷新は自分たちには関係ない」という従業員の空気も、2025年の崖を長引かせる要因となっています。実際、経営戦略の一環としてDXを進めようとしても、人事部門や現場が十分に巻き込まれず、人材の育成や採用も後手に回り、結果として“システムの入れ替え”にとどまってしまうケースが少なくありません。

言い換えれば、2025年の崖を乗り越えるためには、レガシーシステム脱却だけを考えるのは不十分です。企業文化を変革し、経営層から従業員までが共通の目標を持ち、組織の壁を越えて動ける環境を整えることが必要です。その過程では人材の育成や戦略的な採用をどう進めるか、人事部門をどう巻き込むかが大きなカギとなります。DXは単なるITプロジェクトではなく、「経営戦略としての組織変革」であるという認識が求められているのです。

2025年の崖、レガシーシステムの脱却──解決のカギは「フリーランス活用」

「2025年の崖」を単なるシステム更新の課題と捉えると、どうしてもエンジニア不足への対応ばかりに意識が向きがち。しかし本質は、企業文化や組織づくりにまで踏み込んだ経営戦略の課題です。そう考えると、フリーランス人材の活用もエンジニアに限定する必要はありません。

たとえば、クラウド移行やセキュリティ強化の現場ではもちろんフリーランスエンジニアが即戦力になります。一方で、プロジェクト全体を調整するPMや、経営戦略とシステム刷新を結びつける経営企画の経験者、人材育成や採用戦略を支える人事の専門家といった外部人材も、同じくらい重要な役割を果たします。

正社員の従業員だけでは、どうしても既存の文化や組織の枠組みを超えるのは難しい場面があります。そこに外部のプロフェッショナルを加えることで、新しい視点が持ち込まれ、変革を進めやすくなるでしょう。たとえば「なぜこのシステムを維持してきたのか」という経営層の思考を問い直したり、「従業員にどんな育成や研修が必要か」を具体的に示したりと、組織の内外をつなぐ役割も担ってくれるのです。

フリーランスの強みは、必要なタイミングで必要な領域をピンポイントに補強できること。採用活動や従業員のリスキリングだけでは時間がかかる部分を、外部人材の力で素早くカバーする。結果的に従業員の負担を減らし、育成の余裕をつくることにもつながります。

つまり、フリーランス活用は「穴を埋める人材確保」ではなく、「経営戦略を推進するための選択肢」として考えるべき時代に入ってきました。IT、人事、広報、経営企画──組織の壁を越え、企業を次のステージへ導くために、多様な専門性を持った外部人材をどう組み合わせるかが、これからの鍵になるでしょう。

初めてでも安心、テックビズのサポート体制

「レガシーシステムを脱却したいけど、どんな人材にお願いすればいいのか分からない…」そんな不安を抱える企業は少なくありません。そこで頼りになるのがテックビズです。継続稼働率97％という高いマッチング実績を誇り、最短即日でプロジェクトに合った人材をご紹介。契約から導入後のフォローまでしっかりとサポートしているので、初めてフリーランスを活用する場合でも安心して始められる仕組みが整っています。

まずは相談だけでも大丈夫です。働き方や人材の使い方を少し変えてみるだけで、「2025年の崖」に立ち向かう力を強化し、レガシーシステム脱却のスピードを高めることができます。その一歩が、想像以上の成果や成長につながるかもしれません。

【編集後記】崖を越えるカギは「まずはやってみる」小さな一歩

2025年の崖は、単にレガシーシステムを刷新すれば解決するものではありません。経営戦略や組織の在り方、人材の育成や採用の仕組みまで含めて、企業全体がどう変わっていくかが問われています。

もちろん、大きな変革に完璧な正解はありません。だからこそ重要なのは、変化を恐れず「まずはやってみる」ことです。システム刷新を小さく区切って進めてみる。従業員の育成プログラムを試験的に導入してみる。あるいはフリーランス人材を一部のプロジェクトにアサインしてみる。小さな挑戦を積み重ねることで、組織は柔軟性を増し、新しい可能性を見つけていけるはずです。

崖の先に広がっているのは不安だけではありません。試行錯誤を続ける企業や組織には、未来を切り拓くチャンスが必ず訪れるでしょう。