「抜擢人事」のメリットは、法人企業をどう変化させる?人事のプロに聞いてみた

「抜擢人事」のメリットは、法人企業をどう変化させる?

「抜擢人事によってどんな影響や変化があるか」など、リアルな意見を探している方もいると思います。この機会に人事制度などの見直しをすることで、優秀な人材が多く集まる組織にパワーアップできるかもしれません。

本記事では、テックビズのHR部で人事の業務をする山下佑太さんに「抜擢人事」についてインタビュー。抜擢人事のメリットや、組織やフリーランスへの影響などをわかりやすく解説します。プロの見解と共に抜擢人事について知ることができるので、最後まで目を通してみてください。

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テックビズのHR部で人事の業務をする山下さんは、学生時代から人事領域で働くことを目指し、新卒時には他社で人事コンサルティングに携わるなど、若くしてキャリアを積んだ人事のプロです。

これまで人事の仕事を通じて、さまざまな法人企業や“人”を見てきた山下さんに、「抜擢人事」について話を聞きました。

「抜擢人事」は、組織やフリーランスにどう作用する?プロが見たリアルとは

テックビズHR部で働く山下佑太さん

ーー「抜擢人事」についてお聞きします。日本の社会においては“年功序列型”が根付いていたこともあり、抜擢人事のような取り組みが注目されるようになったのは、ここ数年のような印象があります。実際のところ、人事に関するお仕事してきた山下さんから見て、抜擢人事を行う会社は多くなっていると感じますか?その理由や背景なども分かるようであれば、ぜひ教えてください。

山下さん:自分が見てきた中では、多いです。とくに、ベンチャー企業・スタートアップ企業・中小企業には、抜擢人事を取り入れている法人企業が多い印象があります。

その理由の一つとして、“事業の成功モデルがまだ確立できていないから”という点が考えられます。

大手の法人企業の場合、平時であれば安定したキャッシュフローのもと、持続的に事業を運営できる体制が整っているケースが多いです。そのため、必ずしも「若手を積極的に抜擢してイノベーションを起こす」といった施策を打たなくても、直ちに経営上の大きなリスクに直結するわけではありません。

ただ、ベンチャー企業のような若い法人企業だと、競合もたくさんいる中で常に体力を削りながら戦っていく必要があります。そんなとき、“勤続年数の長い方がイノベーションを生めるか・事業を大きく成長させられるか”といった観点で見ると、必ずしもそうとは言えない実情があります。

それらを踏まえたうえで、競合と戦うためには、年齢や勤続年数に基づかなくても、より優秀な人材を上(の役職や立場)にして事業を成長させていかなくてはいけないといった背景もあることから、若い法人企業には抜擢人事を行う会社が多いと考えています。

ーーなるほど。たとえばですが、これまで年功序列型だった法人企業が抜擢人事を実践するとなった際、どんなメリットが生まれると思いますか?

山下さん採用の側面で言えば、“優秀な人材を集めやすい”というメリットかなと。

たとえば年功序列型などの“抜擢人事を行わない”法人企業に入社した場合ですが、優秀な人材であっても、やりたい仕事をしたり、なりたいポジションにつけたりするまで時間がかかるケースが殆どです。

一方で、抜擢人事を行う法人企業に入社した場合、“成果を出せば早期に希望のポジションにつくことができ、やりたいことが実現できる”といった魅力があります。そういった面から、「自分のキャリアを実現したい」と考える優秀な人材を集めやすい傾向があるといえます。

ただ、優秀な人材ほど、自身の成長のために最適な環境を常に探していることが多いです。所属企業での目的を達成したタイミングで、新たに挑戦できる場所へ進む方も一定数いるので、抜擢人事を行う法人企業は“人材の流動性”が高くならないよう注意も必要です。

「抜擢人事」と即戦力フリーランスの相性は?現代の人事制度の課題に迫る

ーーここまで聞いてきた中では、ポジティブな要素のほうが抜擢人事には多い気がしています。“能力や成果に基づいて評価”という制度の性質から、即戦力フリーランスとの相性が非常に良いような印象もあるのですが、実態としてはいかがでしょうか?

山下さん:それは非常に難しい質問ですね。というのも、現代における法人企業の多くが、人事とフリーランスをつなげられていないような印象があるからです。

これについては「正社員には人事制度を適用するが、業務委託(フリーランス)には案件ベースでお仕事を割り振るだけ」のようなスタンスの法人企業が多く、フリーランスが成果をあげても、役職がついたり責任者になったりすることは殆どない……というリアルもあります。

なので、まずそもそも、正社員とフリーランスに共通して当てはめられるような人事制度のベースが必要かなと思います。

ーーかなりリアルな部分に差し迫ったご意見だと思いました。その反面、フリーランスには優秀な人材も多くいることから、少しもどかしさも感じます。となると今後しばらくは、抜擢人事をしている・していないに関わらず、法人企業は人材の保守的な運用をする可能性が高い……という見解でしょうか?

山下さん:一概にそうとは言えないと思います。これは自分が見てきた中での意見になりますが……抜擢人事を行う法人企業に入社する方は、正社員でもフリーランス的な思考を持つ方が多いと感じています。

たとえばそういった方々が持つ「入社してこんなことをやりたい」という思いと、フリーランスが持つ「こんな経験を積みたいからこの案件を選択する」という思いは、ニアリーイコールでつなげられる内容ですよね。言ってしまえば、異なるのは“雇用形態”だけです。

加えて、抜擢人事自体を見ても「ジョブ型で採用をする」など、やっていることだけを見れば、フリーランスの活用とほぼ変わらないケースがあります。

このことから、環境や社会的に“正社員でもフリーランス的な思考を持つ人材”が増えていくと、徐々にフリーランスも抜擢人事の対象になっていくのではないかなと。

そういった面から、今後は(フリーランスに対して)世の中がより適合していくと思うので人事とフリーランスをつなげられていない現状については“もったいない”と考えています。

・ベンチャー企業のような若い企業ほど、「抜擢人事」を行う会社が多い傾向がある。
・「抜擢人事」を行う法人企業には、キャリアの実現を目指す“優秀な人材”が集まりやすい。
・今後は正社員だけではなく、フリーランスも人事制度の対象になる社会になっていく可能性がある。

厚生労働省が発表した「抜擢人事」を行う法人企業の事例をご紹介

「抜擢人事」を行う法人企業の事例をご紹介

抜擢人事を取り入れて人材の採用や育成を行い、成果につなげている法人企業は、現代において少なくありません。

その根拠の一つに、令和5年(2023年)の3月に厚生労働省が発表した「実践事例 変化する時代のキャリア開発の取組み」があります。こちらは、令和4年度厚生労働省委託事業「内部労働市場を活用した人材育成の変化と今後の在り方に関する調査研究事業」の成果物として作成された事例集です。

※事例09 カゴメ株式会社のページより参照。

※出典:2023年3月「実践事例 変化する時代のキャリア開発の取組み」厚生労働省

内容を読んでいくと、著名な大手の法人企業でありながら「能力・意欲の高い者を早期に抜擢」「若手を抜擢」などの抜擢人事にしっかり取り組み、人材育成や企業の成長に成功した事例がいくつか確認できます。また、求人に応募をしてくる求職者だけではなく、現在社内で働く人たちのモチベーションにも抜擢人事は良い影響を与えているケースが見られました。

このことから、会社の規模感に関わらず「優秀な人材を募集したい・育てたい」「会社をより成長させたい」といった狙いで行う抜擢人事は、正しく運用することで、ポジティブに作用するケースが多いと言えるでしょう。

しかし中には、「プロジェクトに一刻も早く優秀な人材を入れないとマズイ」「抜擢人事に取り組んだことがないため、正しい運用方法が分からない」といった法人企業もいるのではないでしょうか。

そんなときは、優秀な支援パートナーと連携し、スピーディーに自社にとって最適な人材を探し出すという方法がおすすめです。フリーランス活用をすることで、正社員採用よりも素早く、即戦力人材を引き入れることができます。

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初めてフリーランスを活用する法人企業様からも高い評価をいただいているサービスですので、この機会に一度、ご相談だけでもいかがでしょうか?

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執筆者
HUMAN CAPITAL + 編集部

「HUMAN CAPITAL +」の編集部です。 社会変化を見据えた経営・人材戦略へのヒントから、明日から実践できる人事向けノウハウまで、<これからの人的資本>の活用により、企業を成長に導く情報をお届けします。

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