エンジニアのマネジメントで苦戦する企業の多い現代。チームで長く働いてもらうためのポイントとは？キャリアのプロに聞いてみた

テックビズでシニアコンサルタントとして働く太田さんは、キャリアコンサルタントの資格も持つ“キャリアのプロ”です。

前職ではSES企業の営業を経験するなど、長くIT業界で働く太田さんに、チームで長く働いてもらうための「エンジニアのマネジメント」について話を聞きました。

エンジニアのマネジメント次第？チームで長く働いてもらうためのポイントとは

ーーエンジニアのマネジメントについて質問させてください。現代は、転職やフリーランス転向など、エンジニアにとってキャリアの選択肢が多い時代だと思います。ただその反面、インターネットやSNSを見ると、エンジニアの定着に苦戦している法人企業も少なくないようです。そうした状況を踏まえて、チームで長く働いてもらうためには、どのようにエンジニアをマネジメントすればよいのか……ポイントなどありましたら、教えていただけますか？

太田さん：まずSES企業の場合になりますが、「他社と同じ案件を持っている」ということがあるように、“案件で他社と差別化しづらい”といった点があります。

なので、ポイントの一つ目としては「感謝や人間関係」といった部分で長く働いてもらえるように、社内のコミュニケーション面を整えることですね。言ってしまえば、“人”で辞めないようにしてもらうイメージです。

二つ目は、やっぱり“待遇”ですね。想定の年収がそのエンジニアのスキルに見合ったものだと辞めにくい傾向があるかと。年収の調整が難しい状況なら、「ここまで行ったら年収がこれくらいまで上がる」のように、キャリアとの相関性を伝えるのも大事だと考えています。

それから三つ目ですが……キャリアの選択肢が多い時代だからこそ、できるだけ“エンジニアにやりたい仕事をやってもらう”ことも、長く稼働してもらえるポイントだと感じています。たとえば「マネジメントをやりたい」という方なら、なるべくそれができる案件に入れてあげたり、自社開発や受託開発などをしてそこにアサインしてもらうことで、エンジニアが望むキャリアを作りやすくなるかと思います。

ーーなるほど。長く働いてもらうためには、エンジニアのキャリアを尊重したり、環境を整備したりすることが大切ということですね。ちなみに現在TECHBIZで働く太田さんは、どのように担当するエンジニアの方をマネジメントをされているのでしょうか？キャリアコンサルタントの資格も持っていると伺っているので、とても気になりました。

太田さん：基本的な部分でいえば、「最近は調子どうですか？インフルエンザになってませんか？」のような定期的な連絡はもちろん、延長の少し前のタイミングなどには顔を合わせて会話をしたりしています。

キャリア的な部分に関しては、一番最初のヒアリングの際に「どういうエンジニアになりたいですか？」や「どういう働き方がしたいですか？」といったかたちで聞くようにしていますね。

そのとき返ってきた答えに対して、「この技術を身につけたほうがいいですよ」や「これをあと3年続けたほうがいいと思いますよ」のようなFBをしっかり行っています。

エンジニアのマネジメントは“尽きない悩み”なのか？エンジニアと向き合うプロの思いとは

ーーこの流れで質問させていただきたいのが、太田さんがされているような取り組みをSES企業も行うことは可能なのか？といった点です。もしそういったSES企業が多くなりつつあるならば、「エンジニアのマネジメントで悩む法人企業も減っていくのでは…？」とも思ったのですが、その点については実際どうなのでしょう？

太田さん：そうですね……SES企業でも可能だと思います。実際、最近では、エンジニアに対して“良い取り組みをされているな”と感じる企業も多いです。

ただそれゆえに、エンジニアのマネジメントに関する悩みは“尽きない悩み”になるのかなと。現代はエンジニアの取り合いのような状況ですし……どれだけ長く働いてもらうための試みをしても、優秀な方はより良い現場を見つけて離れていってしまうことはあります。

ーー業界のリアルが伝わるご意見だと思いました。企業にとって“エンジニアのマネジメントは尽きない悩み”といった見解をいただきましたが、だからこそ太田さんのようなポジションの方がいっそうキーになっていくのかもしれませんね。最後になりますが、エンジニアのマネジメントやご自身のキャリアを通して、太田さんがどのような思いで業務をされているのかコメントいただきたいです。

太田さん：これまでたくさんの、大変な環境や現場で働かれているエンジニアの方と出会ってきた経験から、“みなさんに理想の働き方を叶えてほしい”という思いで私は働いています。

私自身もキャリアの中で、収入や働き方に悩みを抱えたことがありました。だからこそ、関わるエンジニアの方などの「こういう働き方をしたい！」という理想を叶えられたらな……と思って日々がんばっています！

・チームで長く働いてもらうためのエンジニアのマネジメントにおいて、SES企業は案件で他社と差別化することが難しい。
・そのため、社内のコミュニケーション面や、待遇を整えることが大切。
・エンジニアのやりたい仕事ができるようにマネジメントや調整をすることも重要。ただしそれでも、優秀な人材は異なる現場に移ってしまうこともある。

エンジニアのマネジメントの難しさを裏付ける、近年の“離職率”

“チームで長く働いてもらうため”にエンジニアをマネジメントすることは、現代のIT業界において重要です。

厚生労働省の公開した資料「令和５年雇用動向調査結果の概況」および「令和６年雇用動向調査結果の概況」によれば、情報通信業の離職率について、次のような結果が出ています。

※出典：「令和５年雇用動向調査結果の概況」厚生労働省

令和5年（2023年）の情報通信業の一般労働者においては、入職率よりも離職率が上回る結果が出ています。

翌年の令和6年（2024年）では、一般労働者の離職率では改善の傾向が見られたものの、パートタイム労働者においては、入職率よりも離職率が上回る結果となりました。

※出典：「令和６年雇用動向調査結果の概況」厚生労働省

こうした離職率の事実や、太田さんのコメントにもあった「現代はエンジニアの取り合いのような状況」であることを踏まえても、チームで長く働いてもらえるようにエンジニアのマネジメントをするのは、IT業界でビジネスをする各社にとって必要不可欠なことと言えます。

とはいえ、「エンジニアのマネジメントが重要なのは分かるけど、実はなかなか上手くいかない」「そもそもエンジニアが足りてないのもあって、マネジメントの成功パターンが掴めていない」などの状況にある法人企業の方もいると思います。

そんなときは、信頼できる支援パートナーに、スピーディーに優秀なエンジニアを紹介してもらうといった方法を取ってみてはいかがでしょうか。

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