採用マーケティング成功の鍵は「共感」にあり?|人事歴20年のプロによる“実践的戦略”を徹底解説!

採用マーケティング成功の鍵は「共感」にあり?

自社の限られたリソースで採用成果を最大化し、優秀な人材を確保するために必要な「採用マーケティング」の考え方とは?人事歴20年のプロフェッショナルが、採用を進化させる必要性とその方法について語ります。

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「HUMAN CAPITAL +」の編集部です。社会変化を見据えた経営・人材戦略へのヒントから、明日から実践できる人事向けノウハウまで、<これからの人的資本>の活用により、企業を成長に導く情報をお届けします。

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本連載「実践から学ぶ、人事のヒント」では、第一線で活躍する人事のリアルな経験と実践知をもとに、採用・育成・定着の現場で直面する課題とその解決のヒントをお届けします。

人事歴20年以上、累計1万人超の採用・定着面談を実施し、計6社で経営戦略に沿った中途・新卒・障がい者採用、組織開発、DE&I推進をリードしてきたプロが、自身の経験をもとに語る“採用マーケティング”。

求人媒体に掲載するだけでは、優秀な人材に届かない時代。従来の“待ちの採用”では不十分であると、なんとなく感じはじめている採用担当者も多いのではないでしょうか。

そこで注目されているのが「採用マーケティング」という考え方です。商品を売るように、自社の魅力を求職者に戦略的に届ける。

この記事では、採用マーケティングの基本から今すぐ行動に移せる具体的なステップまで、現場目線で徹底解説します。

採用マーケティングが今重要なのはなぜ?

採用市場はここ数年で大きく変化し、特に中小企業・地方企業では「応募ゼロ」の状態が珍しくなくなりました。

また、通年新卒採用を取り入れる大手企業も増えてきており、企業規模にかかわらず、採用のあり方が多様化してきているのは明らかです。

求職者が企業を選ぶ時代になった今、採用活動にもマーケティング思考が求められるようになりました。

理由① 求職者の多様な価値観に沿った採用戦略を練るため

求職者が企業に求めるものは、給与や福利厚生だけではありません。働く意味・成長機会・社会貢献などの“内面的価値”を重視する人材もいれば、働き方の柔軟性や心理的安全性を重視する人材もいます。

特にミレニアル・Z世代では、「成長環境に身を置きたい」「価値観や文化がマッチする企業で働きたい」といった志向が顕著で、新卒採用面接の逆質問の時間で聞かれることが多くなりました。

この価値観の変化に合わせて、企業側も「この会社で働くと得られる未来」「一緒に過ごすメンバーの考え方や文化」を具体的に伝える必要があります。

これはマーケティング領域での「購入する理由作り」と似ており、「自社の商品を選んでもらうにはどうすればよい?」という思考と同じです。

理由② 多様化する採用手法を“戦略的に”運用する視点を持つため

求人広告出稿を出せば求職者が集まる、ターゲットを探してスカウトを送る、などの従来の採用手法では、差別化が難しい時代。

さらに、人事部が対応する業務が以前よりも多岐に渡ることから、施策の「今やる・将来的にやる・やらない」を戦略的に位置付ける必要があります。

マーケティング領域でも同様のことが言えます。

限られた自社のリソースをどう有効活用し、成果を最大化するか?
競合優位性をどう設計するか?

戦略的な施策運用という点において、マーケティングの動き方を参考にできることが多いと言えます。

理由③ 欲しい人材から選ばれる仕組みを作るため

ターゲットからの応募数の増加、量だけでなく質の担保、採用単価の削減、企業ブランディング(広報の資産化)など、達成すべき指標は様々。

マーケティング視点でも、ターゲットに選ばれ、顧客単価を下げ、自社のアイデンティティを確固たるものにすることは、どの企業でも目指すところではないでしょうか。

採用マーケティングとは、単発的な施策ではなく、「欲しい人材から選ばれる仕組みを作る長期戦略」と捉えるべきです。

「共感」をテーマに採用マーケティングを成功させる視点とは?

採用マーケティングの中心にあるのは、求職者からの「共感」。

なぜなら、求職者が企業に応募する動機の多くは「この会社、なんかいいかも」「私に合ってるかも」という感情に基づいているからです。

ターゲットを明確にして、自社が求める人材の心に刺さるメッセージを打ち出す

共感を得る第一歩は、誰に向けて情報を届けるのかを明確にすることです。

自社が求める人材像を具体化する(MVPを体現できる人材を採用するため)
年齢・スキル・価値観などを含めたペルソナ設計
ペルソナのニーズに基づいたメッセージ作り

例えば、職場によって、「協調性をもち皆と協力して働いてほしい」「積極的にアイディアを出して自走してほしい」など、人材に求めるスタンスは異なります。現場の空気感によって、求職者に魅せるメッセージを最適化する必要がありました。

前者の職場では、協働・心理的安全性を求める人がターゲット層に近いと仮定し、「チームで成功に向かう」「いつでも相談相手がいる職場」などのコピー文が刺さると考えました。

後者の場合は、成長意欲が高く自立心が強い人材を求めていたことから、「あなたの“やってみたい”を新しいプロジェクトに。」のような表現で、共感を得る戦略を組みました。

求職者の視点に立ち、誠実に等身大のメッセージを届ける

よくある失敗事例として、求職者視点ではなく、企業側視点のアピールに徹してしまうことがあります。

求職者の視点では、「入社して本当に活躍・成長できる?」「自分らしく、良い環境で仕事ができる?」といった不安があります。

入社後の姿は企業側から発信される情報に頼ることがほとんどで、不透明な情報だからこそ、一方的なアピールは逆効果。

ポジティブ情報を過度に盛って伝えてしまい、イメージと入社後のギャップで離職率が高くなってしまったという話をよく聞きます。

誠実で等身大の、できるだけ具体的なメッセージを伝えることで、応募のハードルを大きく下げることができます。

情報ではなくストーリーで共感を得る

人は情報よりもストーリーに心を動かされます。

若手社員の成長ストーリー
挫折からの成功体験
チームの価値観がわかるエピソード

こうした、企業や社員のリアルを映したコンテンツをつくることができる会社は、採用広報に成功するケースが多いです。

企業側としてもミスマッチを事前に防ぐという観点から、ストーリーを開示して共感を持ってくれる求職者を集める方が、効果的でWin-Winな結果となるでしょう。

採用マーケティング実践ステップ 〜 認知され応募数を増やすには?

採用マーケティングは入社後フォローまで一貫した取り組みを指しますが、今回は「今すぐに取り組める具体的な実践ステップ」として、「認知され質の良い応募数を増やす」ことにフォーカスしたTo-Doをお伝えします。

Step 1: 自社の強みを分析する

まずは足元を固めることから始めましょう。

競合他社との違いをリスト化する
自社の文化・価値観・こだわりを言語化する
それらを“求職者に響く言葉”に翻訳する

例えば、「アットホームな職場」という表現を打ち出していた求人では、「役職関係なく、誰にでも相談しやすい文化がある」「Slackに雑談チャンネルがあり、普段関わり合いの少ない部署の人とも交流を深めている」などと説明し変え、改善を図りました。

また、「裁量大の成長環境」を伝えたい現場では、入社半年でプロジェクトリーダーに任命された社員のインタビューなどの、実際に現場で活躍している人のストーリーを開示すると良いでしょう。

Step 2: 最適な情報発信チャネルを選ぶ

近年はSNSでの採用広報やターゲット別の媒体など、情報発信の場が増えてきました。ペルソナごとに最適なチャネルは異なりますので、以下を参考にしてみてください。

  • 新卒・若手:Instagram、TikTok、YouTube
  • 中途専門職:LinkedIn、note、オウンドメディア
  • 全体:採用サイト、Wantedly

チャネルごとの特性と目的を理解した上でコンテンツを作ることで、安定した母集団形成を増やすことが可能になります。

Step 3: 効果測定と改善を繰り返す

採用マーケティングは、感覚ではなくデータで改善します。

KPIを設定する(PV数、応募数、面接率など)
データを見ながら改善ポイントを抽出する
PDCAサイクルを回し、資産として積み上げる

改善を繰り返すことで、「応募が途切れない仕組み」を設計しましょう。

まとめ|企業の魅力を最大限に伝える「採用マーケティング」

採用マーケティングは、企業の魅力を最大限に伝え、優秀でミスマッチのない人材を獲得するための仕組みを整え、資産としていくことを目的としています。

「応募が来ない」「欲しい人材が採れない」「ミスマッチが多い」と感じたときこそ、採用マーケティングに取り組む絶好のタイミングです。

マーケターや専門家との壁打ちをして、認知から満足度向上までの一貫した施策としての採用マーケティングを実現しましょう。より詳しい採用マーケティングの成功例を知りたい方は、ぜひHRBIZまでお問い合わせください。

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執筆者
HUMAN CAPITAL + 編集部

「HUMAN CAPITAL +」の編集部です。 社会変化を見据えた経営・人材戦略へのヒントから、明日から実践できる人事向けノウハウまで、<これからの人的資本>の活用により、企業を成長に導く情報をお届けします。

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