フリーランス活用で新機能開発を加速。e-CHANNELが実践するデジタル人材との協働とは?

保育士向け情報メディア「ほいくis」と求人サイト「ほいくisお仕事探し」を運営する株式会社e-CHANNEL。今秋リリース予定の新機能開発において、テックビズを通じてフリーランスエンジニア2名を迎え入れ、社内リソースの限界を突破している。

過去の苦い経験を糧に独自の運用スタイルを確立し、今では社員と同等レベルの連携体制を構築するまでに至った同社。フリーランス活用の現実と、外部人材との協働におけるポイントについて、開発チームの大熊氏、保坂氏に詳しく話をうかがった。

大熊さん、保坂さんプロフィール

▶大熊輝子(右):メディア事業部メディア第2課 | 2023年入社。「ほいくis」のディレクターを経験したのち、「ほいくisお仕事探し」のディレクター・リーダーとしてサイトリニューアルを担当。現在は新サービス開発をプロマネとして推進。  ▶保坂篤(左):メディア事業部開発推進課 | 2022年入社。「ほいくisお仕事探し」のバックエンドエンジニアとして機能アップデートや改修等を担当。業務委託のエンジニア2名を取り纏めつつ、自身も開発を担当し、新サービスの機能開発も推進。

組織再編と新機能開発への挑戦

— まず、御社の組織体制について教えてください。

大熊さん(以下: 大熊): 弊社は大きく3つの課に分かれています。メディア第1課が「ほいくis」という保育士の方向けの総合情報メディアを、メディア第2課が「ほいくisお仕事探し」という求人情報メディアを管轄しています。そして今年4月から新設されたのが開発推進課で、それまで各課に所属していたエンジニアとデザイナーを一元管理し、より柔軟なリソース配分と全社視点での技術戦略の推進を可能にしました。

— 今回フリーランス活用を始めた具体的なきっかけは何だったのでしょうか?

大熊: 今期の秋ごろリリース予定の新機能があるのですが、現状の社内リソースだけでは開発が追いつかない状況でした。そこで業務委託の方にお力をお借りすることにしました。

— 最初からエージェント経由での検討だったのですか?

大熊: はい。当初からエージェント経由での検討を進めました。グループ会社のキッズコーポレーションで過去に利用した実績があったことと、社内メンバーにフリーランス経験者がいたので、その方からのアドバイスも参考にしました。

実は少し前に他社で単発の依頼を検討したことがあったのですが、直接取引を匂わせるようなワーカーさんもいて、そういったグレーな部分を避けたいという思いもありました。エージェント経由の方が安心だと判断しました。

過去の失敗から学んだマネジメント手法

— 現在エンジニア2名の方にご参加いただいているということですが、社内エンジニアとの役割分担はいかがですか?

大熊: 明確に「この作業は外部の方に」という分け方はしていません。おふたりともPHPなどのスキルセットでご参加いただいているので、単純にリソースが足りないところを柔軟に補っていただいている形です。タスク管理ツール上でチケットを個別に切って、作業を依頼しています。

— これまでのフリーランス活用で、うまくいった事例があれば教えてください。

保坂さん(以下: 保坂): 実は以前、別の方で少しうまくいかなかった経験がありました。その経験があるので、現在の方たちとのスムーズな連携が際立って感じられます。

特に印象的なのは、仕様がまだ煮詰まっていない段階でワイヤーフレーム程度の情報をお渡ししたとき、すぐに不明点を洗い出して質問として投げてくださったことです。これにより時間の無駄や後戻りが発生しにくくなり、非常にありがたいと感じています。

大熊: ディレクターとして関わらせていただいていますが、スムーズでスピーディー、本当に助かっているという一言に尽きます。

— 一方で、試行錯誤された部分もあったと思います。どのような改善を行いましたか?

保坂: 前回の方との件では、進捗管理が課題でした。進捗管理の頻度は少なめで、口頭ベースでの確認にとどまっていたところ、実際に開けてみると想定より進んでいないということがありました。

そこで現在は、エンジニア・ディレクターサイドでもう少ししっかりと進捗管理をする方針に転換しました。具体的には、毎日簡単でいいので日報的な進捗報告をお願いし、週1回のオンラインミーティングでも進捗確認を行っています。

— 毎日の報告に対してハレーションなどはありませんでしたか?

保坂: 苦情のようなものはいただいていません。本当に作業終わりに数行レベルでご報告いただく程度なので、負担にはなっていないと思います。適度な管理が重要だと学びました。

コミュニケーションとモチベーション維持の工夫

— フリーランスだからこそのモチベーション管理で気をつけていることはありますか?

大熊: 現状のプロジェクトでは、秋口のリリース日に向けて無事にローンチすることが最優先です。数値的な改善目標があるわけではないので、まずはスケジュール通りに進めることを重視しています。

進捗管理のコミュニケーションにそれほど時間をかけていませんでしたが、今回はもう少し密接に関わるようになって、質問なども含めて頻繁にコミュニケーションを取っています。これがマイナスになることはないと感じています。

— 現在のマッチング状況について、さらなる改善点があれば教えてください。

保坂: これはさらにレベルを求めるというような話なのですが、今よりもさらにレスポンスの速さや仕様の細部まで見る力があると、よりありがたいなという印象です。

決して現状が悪いということではなく、さらに伸ばしていただけるとより良いという意味です。

大熊: 私からは特にありません。契約面でも、他社さんだと3ヶ月単位での指定があったりしますが、柔軟にご相談させていただけるので助かっています。

人的資本の社会的共有という理念

— テックビズは「人的資本の社会的共有」という理念をかかげています。これはフリーランスなどの外部人材も人的資本としてとらえることが重要だと考えているんです。私たちが考えている「人的資本の社会的共有」について、どのようなお考えが浮かぶでしょうか。

大熊: 難しいテーマですが、IT業界では流動的な働き方が浸透しているので、選択肢が増えたという感覚があり、好ましいことだと感じています。

保坂: エンジニアとしては、正社員だけでなくフリーランスという選択肢がより大きくなってくると、流動性という観点でも良いと思いますし、個人としても選択肢が増えることで、より社会全体への貢献が大きくなると思います。

そういう観点で、人材会社さんの中でテックビズさんの存在感が大きくなると、そうした選択肢の存在感も大きくなるので、期待しています。

— 正社員とフリーランスの境界が曖昧になる社会で、重要なことは何だと思いますか?

保坂: 帰属意識については、正社員に比べてフリーランスの方はどうしても少なくなりますので、 進んでいく方向へのベクトル合わせや、フリーランスの方の受け入れ体制の強化が重要になると思います。

大熊: 逆に、こちら側もあまり帰属意識は求めていないというのが現状です。ただ、会社としてのセキュリティや個人情報、機密情報の取り扱いで、どうしても業務委託という形だと制限がかかってしまうケースがあり、そこで線引きが入るのが現状です。

これからフリーランス活用を始める企業へのアドバイス

— 今後フリーランス活用を始める企業に向けて、アドバイスをお願いします。

保坂: 人材の優秀さには当然ばらつきがあり、費用を無駄にしてしまうリスクを心配される会社さんも多いと思います。

ただ、優秀な方に入っていただいたときの新たな知見や経験は非常に価値があります。実際に複数の方にご参加いただいていますが、同じPHPという言語でも「こういう書き方がある」「こういう便利な機能がある」といった新しい気づきをもらっています。

アウトプットとしてのプロダクトだけでなく、その人が持っている知見やバックグラウンドが組織にプラスになるという価値があります。ただし、言われたことだけをやるのではなく、提案してくれる人だと本当にありがたいですね。

大熊: コミュニケーション面では、日々の簡単な報告と週1回のオンラインミーティングで、今のところ大きな問題なく進められています。

また、特にエンジニア・デザイナーであれば、必要なスキルセットやバージョン経験などを面接時により明確に確認できると、ミスマッチを防げると思います。ただし、一回の面談での判断は難しい部分もありますが。

— フリーランス活用への意思決定も重要な要素でしょうか?

大熊: そうですね。外部人材を活用するという意思を会社側がしっかり持つことは大前提だと思います。

まとめ:柔軟性と信頼関係が成功の鍵

e-CHANNELの事例は、フリーランス活用における現実的な課題と解決策を示しているといえます。過去の失敗から学んだ適度な進捗管理、密なコミュニケーション、そして外部人材を受け入れる組織としての意思決定。これらが組み合わさることで、社員と同等レベルの協働体制を実現しています。

特に印象的なのは、「言われたことだけをやるのではなく、提案してくれる人材の価値」という視点です。単なる工数補完ではなく、新たな知見やスキルを組織にもたらすパートナーとして外部人材を捉えている点が、成功の要因と言えるでしょう。

フリーランス活用を検討している企業にとって、e-CHANNELの実践的なアプローチは多くの示唆を含んでいます。技術の進歩と共に働き方がますます多様化する中、こうした柔軟な協働モデルが、より良い社会の実現に向けた「人的資本の社会的共有」の第一歩となるのかもしれません。

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HUMAN CAPITAL + 編集部

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