「1on1で話すこと」に悩んだら──成果につながるテーマ設定の考え方

「1on1で話すこと」に悩んだら──成果につながるテーマ設定の考え方

近年、社会全体の課題となりつつある働く人のメンタル不調。気候の変化や季節ごとの繁忙期、キャリアの不安や人間関係のストレスなど、原因は多岐にわたり、誰もが影響を受ける可能性があるのです。実際に、精神障害による労災認定件数は年々増加し、企業にとっても「他人事」では済まされない状況が続いています。

では、この現実に企業やマネージャーはどう向き合えばいいのでしょうか。離職や生産性低下といったリスクを前に、いま必要とされているのが「1on1ミーティング」です。今回は、上司と部下の対話がどのように組織を守り、そして成長につなげられるのかを考えていきましょう。

1on1で“話すこと”と上司の役割

1on1で“話すこと”と上司の役割

ストレス社会と言われる昨今。厚生労働省の統計によれば、精神障害による労災認定は6年連続で過去最多を更新しています。長時間労働やハラスメントだけでなく、キャリアへの不安や孤立感が複雑に絡み合い、働く人の心を追い詰めているのです。

別添資料2 業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況 厚生労働省 令和6年度

※出典:別添資料2 業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況 厚生労働省 令和6年度

そのような状況の中、いま多くの企業が導入しているのが、上司と部下が1対1で行う1on1ミーティングです。その目的は、業務の進捗確認だけでなく、部下のコンディションやキャリアへの希望を引き出し、必要なサポートへとつなげることにあります。

具体的には、最近の体調や気分、業務量にどれほど負担を感じているかといった日常的なコンディションの確認のほか、将来挑戦したい仕事や成長につながるスキルについてなど。さらに、チームの人間関係や働きやすさに関する不安を率直に共有してもらうことも大切です。こうしたテーマを話し合うことで、部下は「きちんと見てもらえている」と感じ、モチベーションの維持や信頼関係の強化につながります

しかし、ここで課題になるのがリソースの制約です。たとえば「業務量が多い」と訴えられてもすぐに人を増やすことは難しく、「専門知識を学びたい」と言われても社内に指導できる人材がいない場合があります。「新規プロジェクトに挑戦したい」という声に対しても、既存の仕事を回す余力が足りないという現実は珍しくありません。こうした制約のなかで対応できないことが続くと、せっかくの1on1で吸い上げた声が「聞きっぱなし」に終わり、ミーティング自体が形骸化してしまう恐れがあります。

時期ごとに変えたい“1on1で話すこと”

時期ごとに変えたい“1on1で話すこと”

1on1で扱うテーマは、常に同じである必要はありません。むしろ、時期や状況によって注意すべきポイントは変化します。たとえば春先は新しい環境への適応や人間関係の変化でストレスが増えやすく、夏の終わりには「9月病」と呼ばれるように疲れが出やすい傾向があります。年末や年度末といった繁忙期には、業務負荷や残業時間も大きなテーマになり得るでしょう。

また、業界や企業ごとに独自の繁忙期があります。小売なら年末商戦、教育業界なら新学期、製造業やIT業界なら年度末の納品時期など、それぞれの繁忙サイクルに応じて、部下が抱えるストレスの内容も変わってきます。こうしたタイミングに配慮し、1on1での話題を調整することは、上司にとって欠かせない役割です。

時期ごとの要因を意識してテーマを設定すれば、部下にとって「いま本当に必要な話題」が扱われることになり、ミーティングの質も高まります。結果として、モチベーションの維持やメンタル不調の予防につながりやすくなるのです。

1on1やフリーランス活用で部下の信頼を得るには

1on1やフリーランス活用で部下の信頼を得るには

1on1で最も大切なのは、「自分の意見をきちんと受け止めてもらえた」と感じてもらうことです。たとえば、前回のミーティングで相談があった業務負担について業務フローを少し調整したり、研修機会の検討状況を共有したりするだけでも、「ちゃんと聞いてもらえた」と部下は実感できます。小さな改善や情報共有の積み重ねが、信頼を生むのです。

逆に、せっかくの1on1で出てきた声が放置されれば、「どうせ言っても変わらない」という不信感につながりかねません。1on1が単なる雑談の場になるか、それとも部下の成長や仕事を後押しする場になるかは、上司が“聞いたことを行動に結びつける”姿勢を示せるかどうかにかかっています。

もっとも、現実にはリソース不足という壁があり、全ての要望に応えるのは容易ではありません。そうした状況で有効なのが、外部リソースの活用です。特に即戦力のフリーランス人材は、必要なスキルを短期間で補強できる柔軟さが強みです。たとえば「データ分析に挑戦したい」という声には、専門知識を持つフリーランスを迎えることで、実務を通じた学びの場を提供できます。「新規プロジェクトに参加したい」という希望も、外部のサポートを加えれば既存業務を圧迫せずに実現可能です。「業務が多すぎる」という不満に対しては、事務処理や広報など一部の仕事を外部に委ねることで負担を軽減できるでしょう。

このようにフリーランスの力を取り入れることは、単なる人手不足の解消にとどまりません。部下の声を現実的な行動に変える“具体的な手段”となり、成長機会を広げ、モチベーションを高める一手にもなるのです。1on1で得た気づきを本当に活かすためのパートナー、それがフリーランス活用といえます。

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【編集後記】1on1は守りではなく攻めの施策──信頼が業績を押し上げる

1on1というと、どうしても「離職防止」「不調の早期発見」といった守りの施策として思われがちです。特に日々の数字を追いかけなければならないマネージャーにとっては、直接業績に反映されにくい取り組みにモチベーションが上がらない、という方も少なくないでしょう。

しかしこれまで数多くの企業を取材してきた中で感じるのは、成長している組織ほどメンバーの満足度を重視しているということ。やりがいを持って働ける環境を整えれば、仕事のパフォーマンスが高まり、結果として業績にも返ってくる――そのサイクルを経営レベルで理解しているからです。さらに、満足度が高まれば採用や定着といった面にも副次的なメリットが期待できます。

もちろん、それは一朝一夕に得られる効果ではありません。日々の1on1を通じて信頼を少しずつ積み重ねていくしかないのです。だからこそ、「守りの施策」ととらえるのではなく、むしろ「攻めの施策」として位置づけ、一回一回の対話を大切にしてほしいと思います。

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鈴木光平
執筆者
鈴木光平

10年にわたって、フリーライターとして活動。テックビズのライターとしても活動中。主にスタートアップ界隈を中心に起業家や投資家などを取材、記事の執筆などを行ってきました。貴重な話を聞いてきた経験から、少しでも役に立つ情報をお届けします。

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